だってあたしには、そっとを手を握ってくれる人もいないし、泣き笑いながらたくさん話が出来る相手もいないからさ。
観たいとは思ってたけど1人で観る自信を失くしかけてたら、書き下ろしの文庫本を見つけたから、渡りに舟とばかりに飛びついたんだ。
これなら1人でもぼちぼち読めるし、たとえ1人でボロボロになっても誰かの歌声やシャウトが救ってくれると思えたから。
果たして。
本屋で手に取って冒頭を読み始めて、買って帰ってきてパラパラとページをめくり、晩ご飯を作る合間にもちょこちょこと進めて、食べ終わってから一気に読み終わったわけで。
これは、ファンタジー。
明らかに、あらゆるところが、ファンタジー。
でも、生きとし生けるものの生々しい痛みを伴う、ファンタジー。
汗拭きタオルで目をゴシゴシこすりながら読み終えた、そんなファンタジー。
だからこそ、アニメーションでしか表現できないとも思ったし、アニメーションでこそ表現できるのだとも思った。
そんな中でリアリティをもって描かれていたこと。
女という生き物は強かで狡猾で柔軟性に長け、男という生き物は弱っちいくせに自分が信じた世界だけが正しいと信じる頑固者。
そこは、もう、苦笑いさえ伴いそうな、リアルが透けて見えていた。
それはともあれ。
いつか雪もお母さんになるだろう。そしたらきっと花が良き相談相手になってくれるだろうし、雨にも家族が出来てるかも…。そんな話を見てみたい。
素直に、そう、思えた。
来年辺り、きっとまた地上波で放送があるだろうから。
その時にこの本を、まるでパンフレットを見るように、開いてめくりたいな。