大事な大事な犬のぬいぐるみがいなくなった。
ぼろっぼろで、もうゴミみたいなぬいぐるみだけど、だけど可愛くて仕方ない、ちっちゃなちっちゃな、わん。
もちろん、持ち主は小僧。
生まれた時に、私の友達からお祝いにもらって、その他大勢のおもちゃの1つでしかなかった、わん。でも、1歳を過ぎた頃、たまたまテレビを見ていて初めて発した言葉が「わんわん」で、それから小僧のかけがえの無い友達になった。
わんは、ぬいぐるみだけど、なんでも食べて好き嫌いしないし、お手伝いもよくしてくれた。
小僧に踏まれ投げられかじられても、やっぱり大好きで大事なわんだった。
どこに行くのもいつも一緒で、しょっちゅう落としたりしたけれど、何故か必ず出てきてくれた。
小僧が幼稚園へ行くようになったら、おとなしくお留守番していたけれど、何度も幼稚園に電話をかけてきたらしい(小僧曰く)。
だからいつでも「わん、いってきまぁす!」で「わん、ただいまぁ!」だった。
わんは、きょうだいのいない小僧の、弟であり兄だった。
そして、同時に、私の息子であり大切な話し相手であり同志だった。
その、わんが、いなくなった。
今度ばかりは、いくら探しても出てこない。
何故だか、小僧よりも私の方が、泣いている。