この作品が漫画の賞を獲った時、すごく読みたいと思ったのだけれど、なんだかんだと機会を逃したまま数年。
こないだ、小僧と図書館へ行った時に、ふと見つけて、ようやく手に取ったという次第。
知っているようで知らなかったヒロシマ。
知らないはずなのに知っているヒロシマ。
この作品には、前者が詰まっていた。
特に「夕凪の街」は、静かな衝撃と共に、知らなかったことが多く、深く重く胸を打つ。
小学生だかの頃から後者の影響だかで、ストリートビーツが好きだったし、大学も広島へ行こうと思っていた。
まあ結局のところ、学力は及ばなかったし、実家を出ることに対する家族の反発も受けて、同じ学部があった大阪府大に入って、今に至るわけなのだけれども。
それでも、やはり。
いや、それだからこそか。
この作品は、読んでいる途中に本を閉じることを拒む。ように感じた。
3話収録されているので1話ずつ読むのは出来るのだが、各話の途中で途切れることを、自分の気分が許さないのだ。
それでも、前を向いて、顔を上げて、生きていこうと思わせてくれた。
「死ねばいい」と思われて爆弾(原爆)を落とされて、それでも生きて、命をつなぎ続けている人々。
それは、お互いに、そうなのだ。
忘れてはいけないし、忘れられないし。
そのことを改めて、重く深く胸に染み渡らせることとなった。
このきれいな穏やかな空が、これからも、いつまでも、続きますように。